システム運用において、最近ITILというワードを耳にする方は多いでしょう。ITILとはITにおけるサービスとマネージメントの成功事例をまとめたガイドラインのことです。1980年代後半にイギリス政府によって体系化され、ITサービスを管理する上で基盤となりました。何度か更新されていて、現在では2011年に出されたものが最新版として使われています。ITILを活用すると低コストにもかかわらずクオリティの高いITサービスを提供することが実現可能となります。国際的にも標準規格となっていて、これを活用するかしないかに関係なく、IT関係の業務をしている人ならば知っておいた方が良いものです。ITILは、サービス・サポートとサービス・デリバリーの2つから構成されています。前者は日常的なシステム運用と消費者へのサポートで、後者はシステム運用における中長期的な改善です。一度試すと、誰かに教えたくなるでしょう。
システム運用でなぜITILが必要なのか
システム運用でITILがなぜ必要なのか、それには理由がいくつかあります。まずは「見える化」です。イギリス政府によって体系化されたために、たくさんの企業の最善策を知ることができるようになりました。技術が伝承されるので、社員全体のスキルアップに役立ちます。「用語統一」という理由もあります。ITILができるまで、IT関連の用語は統一されていませんでした。そのため、運営において混乱や誤解が生じていて、行き違いによるトラブルも少なくありませんでした。ITILは、組織の構造や用語の定義を明確にしているので、意思疎通がスムーズにできます。「早期問題解決」も理由のひとつです。管理の内容とノウハウがまとめられていて、責任の所在と解決方法を明言しているため、早期に問題解決ができます。
システム運用に関するITILの心理性
システム運用はデイリーの業務が受け身になることが多く、後手の対応になってしまうことがほとんどです。システム部などは、会社にとっても利益を出す部署という位置づけでないことが少なくありません。クレーム対応をしたり、依頼作業をしたりしてポジティブな気持ちで仕事をするという感じではないでしょう。しかし、だからこそITILを活用すれば、状況は俄然変わってきます。まず致命的な障害はほとんどなくなります。インシデント管理や変更管理を適用することでシステム障害の起きる件数を減らし、対応する人員も削減することが可能です。ユーザー対応からも解放されるので、クレームを受けるストレスも減ります。IT関連の用語も統一されるので、同じ課題を抱える社員同士の対話の機会が増え、改善策や目標を決めやすくなります。ITILは心理面でも十分な助けとなり、全体的な効果としては、もっとはるかに大きなものとなり得るでしょう。